研究所についてAbout the Hayashi Institute

理事長あいさつMessage

理事長
林 英樹HAYASHI HIDEKI

その人らしく生きられるように
共に支え合います

 当公益財団法人は初代岡山大学学長で元精神科教授の林道倫(みちとも)によって、1952年に設立されました。
 設立時の挨拶で林は「今日、正常な社会生活を送ることができない精神障害者の不幸と家族の絶望に思いをいたすとき、この病気と苦しみは誠に言語に絶するものがあります。この附属病院でもって、理想的治療病院の範をしめしてゆきたいと考えております」と述べました。日本でまだコントミンが発売されていない時代でした。
 1973年林道倫が88歳で没し、病院の診療体制は危機に瀕しました。その時、全国から38名もの医師たちが応援に駆け付けてくださって診療を継続することができました。

 1976年東京都立世田谷リハビリセンター(現:東京都立中部総合精神保健福祉センター)より南雲與志郎が院長に着任し、林の創立の理念を受け継ぎ再建が進みました。南雲は5か年計画を策定しながら施設整備を進め、急性期からリハビリまでの治療の流れを確立しました。また、家族会を結成し、1981年市民組織「林友の会」に改組しました。
 1985年新南棟の竣工時に南雲は「精神科病院はその固有の役割を充実させるとともに、地域・福祉のネットワークの中で積極的な役割を持つことがますます要求されるであろう。それは多様化し増大する精神科医療の需要に入院・外来の医療で対応するとともに慢性化した患者さまの生活療法を含めた社会復帰活動、デイケア、訪問看護などの病院機能と地域を結びつけて拡大することを意味する。この課題をどこまで現実化できるかにわれわれの歴史的使命がかかっている」と述べております。
 病院の機能分化とともに、外来ではデイケアとともに訪問看護に取り組み、地域には共同作業所や共同住居が開設されました。やがて地域での生活や就労を援助する社会福祉法人「あすなろ福祉会」や「結い」が林友の会の作業所から独立し、現在も先進的な活動を展開しています。
 1995年には人権を尊重し、病める人や障害のある人たちに寄りそう看護師の養成のため、ソワニエ看護専門学校を開校いたしました。
 その後も精神科医療・福祉への需要に応え、1999年認知症専門病院「岡山ひだまりの里病院」を、2003年「けやき通りメンタルクリニック」(現:けやき外来)を開設しました。

 2002年より私が理事長を拝命しました。この間に精神科における援助は「医学モデル」から「生活モデル」に変わりました。精神科病院は当事者やご家族のニーズを多くの関係機関と連携して援助し実現してゆく機能が求められます。これが理念である「その人らしく生きられるように共に支え合います」に表されています。 地域にはグループホーム、生活支援センター、就労支援事業所、認知症施設、ヘルパーステーション等が次々と設置されました。現在はさまざまな機関との連携が可能となり、南雲の言葉通り地域・福祉のネットワークが広がっています。
 しかし社会資源や社会保障制度の整備はまだ充分とはいえません。貧困や格差も生じています。当財団の事業所では「いのちの平等」を大切にするため、差額ベッド代はいただかず医療費の支払いが困難な状況にある方には無料低額診療事業を実施しています。そして、林友の会や当事者の方々と連帯しながら医療や社会保障制度の改善運動に取り組んでおります。
 こうした活動が実を結び、2012年県下でいち早く「公益財団法人」としての認可をいただくことができました。今後も法人設立の理念を引き継ぎ、多くの方々と協力しながら、精神科医療・福祉の向上に尽くしてゆく所存です。

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創設者等の紹介Our Founders, Michitomo Hayashi & Yoshiro Nagumo

林 道倫(創設者)
HAYASHI MICHITOMO
[1885-1973]

日本精神医学の建立者である呉秀三に学んだ後、ドイツに留学しました。1949年岡山大学の初代学長に就任しました。1952年、岡山大学長を退官した林道倫は、私財を投じて「財団法人林精神医学研究所」および「附属林道倫精神科神経科病院」を設立しました。有効な治療法が見出せず、無為に過ごす統合失調症患者に心を痛めていた道倫は、「脳を研究し、いつか患者を救いたい」との強い思いを持っていたのです。「精神・神経の研究、臨床治療的応用を図り、以て社会福祉に貢献する」としました。

都立松澤病院、世田谷リハビリテーションセンターを経て、1976年に林道倫精神科神経科病院院長に就任した南雲與志郎は、翌1977年「林友の会」設立にも大きく尽力。患者さまとご家族、病院の三者が協力した治療が、患者さまの社会復帰につながるとしてご家族の力の大きさを訴えました。1982年には理事長に就任。その後の林精神医学研究所、林道倫精神科神経科病院の発展に寄与しました。また、精神科医師として過労自殺に関わる多くの裁判を支援し、精神障害による労災認定の前進に大きな足跡を残しています。

南雲 與志郎(元理事長)
NAGUMO YOSHIROU
[1929-2007]

法人概要・沿革Corporate Profile & History

目 的

この法人は、精神科に関する地域の要求に応え、人権を大切にした無差別・平等の医療・福祉を実践し、「こころの病」の予防、治療及びリハビリテーションを行い、精神保健分野における公衆衛生の向上と看護師の後継者養成を通じて、安心して暮らせる地域社会づくりに寄与することを目的とする。

概要

名称 公益財団法人 林精神医学研究所
所在地 〒703-8520 岡山市中区浜472番地
TEL.086-272-2719 FAX.086-272-8826
研究内容
  • 文献、図書、情報の収集、整備、研究資料の提供
  • 研究所報の刊行
  • 研修医、研修生の受け入れ、研修カリキュラムの充実
  • 後継者の養成
  • 職員の研究活動の推進と援助
  • 研究会、講演会の実施
  • 他の研究施設及び病院との共同研究の継続、推進
事業内容 林精神医学研究所
林道倫精神科神経科病院
岡山ひだまりの里病院
みさお山訪問看護ステーション
みさお山在宅介護支援センター
精神障害者グループホーム
グループホームひだまりの家
岡山EAPカウンセリングルーム
ソワニエ看護専門学校
定款 定款(PDF)

沿革

1952年 初代岡山大学学長・林 道倫の生前寄附行為により財団法人を設立
岡山市番町に研究所と附属林道倫精神科神経科病院(定床22)を開設
1954年 その年3月の火災をきっかけとして入院棟を岡山市浜へ建設
1959年 林精神医学研究所報 第1号発刊
1973年 林 道倫没(87歳)
1976年 南雲與志郎医師着任
1977年 患者家族会 林友の会結成
林友の会についてはこちら
1978年 法人所在地を岡山市番町から現住所へ移転
1979年 林病院 北棟完成
1981年 南雲與志郎理事長就任
林友の会を市民組織に改組
1982年 林友の会共同住居運営開始
1986年 全日本民主医療機関連合会加盟
林病院 南棟完成(413床)
1995年 みさお山在宅介護支援センター設置(岡山市委託事業)
ソワニエ看護専門学校開校
1997年 みさお山訪問看護ステーション開設
1999年 岡山ひだまりの里病院開設(180床)
2000年 林病院 改修(325床)
2002年 林 英樹理事長就任
2003年 岡山EAPカウンセリングルーム開設
認知症グループホーム ひだまりの家開設
けやき通りメンタルクリニック開設
2009年 寄付行為一部変更し第二種社会福祉事業開始
2010年 林グループホーム運営開始
2012年 公益財団法人移行
2013年 林病院 ひまわりホール(厨房棟)完成
2014年 林病院 新中棟完成(定床278床)
2015年 相談支援事業所かなで開設
2017年 けやき通りメンタルクリニックを林病院に統合(けやき外来)
2020年 林病院・ひだまりの里病院 電子カルテシステム運用開始

所報とご寄付のお願いOur Bulletin & A Request for Donations

所報について

医師研修や研究報告、各種論文などを掲載する研究所発行のレポートです。

所報に関するご質問、ご依頼は下記電話番号までお寄せください。

お問合せ先
林精神医学研究所本部事務局
TEL.086-272-2719

ご寄付のお願い

※当法人の目的及び事業(定款)

第三条
この法人は、精神科に関する地域の要求に応え、人権を大切にした無差別・平等の医療・福祉を実践し、「こころの病」の予防、治療及びリハビリテーションを行い、精神保健分野における公衆衛生の向上と看護師の後継者養成を通じて、安心して暮らせる地域社会づくりに寄与することを目的とする。
第四条
この法人は、第三条の目的を達成するため、次の事業を行う。
  1. 一 医療・福祉に関する調査、研究
  2. ニ 診療及び保健予防事業
  3. 三 介護及び介護予防事業
  4. 四 障害者の就労支援、自立支援事業
  5. 五 勤労者のメンタルサポートを含む国民の心の健康啓発事業、検診事業
  6. 六 看護専門学校の設置運営
  7. 七 第2種社会福祉事業に定める無料または低額診療事業
  8. 八 その他目的達成のため必要な一切の業務

平成24年4月1日変更 平成24年4月1日登記

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